世界最大の物流、AIに相談する
世界中の子どもたちに、たった一晩でプレゼントを届ける。冷静に考えると人類史上最も無茶な物流を、千年以上ワンオペで続けている男がいます。サンタクロースです。
そんな彼のもとに、今年、妖精たちが最新のAIを導入しました。「サンタさん、もう歳なんですから、楽してください。」その優しさが、北極に大論争を巻き起こします。
〜配送最適化AIに「トナカイをドローンに」と提案された夜〜
世界中の子どもたちに、たった一晩でプレゼントを届ける。冷静に考えると人類史上最も無茶な物流を、千年以上ワンオペで続けている男がいます。サンタクロースです。
そんな彼のもとに、今年、妖精たちが最新のAIを導入しました。「サンタさん、もう歳なんですから、楽してください。」その優しさが、北極に大論争を巻き起こします。
サンタの悩みは深刻でした。「腰は痛い。トナカイの飼料代は上がる。煙突のない家は増える。何より……最近の子どもの欲しいものが、わからん。」
手紙には「課金アイテム」「推しのコンサートチケット」「フォロワー1万人。」「フォロワーとは何じゃ?袋に詰められるのか?」
途方に暮れたサンタは、妖精が導入したAIに初めて向き合いました。「わしの仕事を、手伝ってくれるかの。」
AIはまず配送ルートを計算しました。
「わしが行かないクリスマスに、何の意味があるんじゃ!!」サンタの怒声で、北極の氷にヒビが入りました。
気を取り直して「良い子リスト」の判定を頼むと、AIはさらに恐ろしいことを言い出します。
「や、やめんか!夢の仕事で個人情報の闇に触れるでない!」サンタは震えながらAIの提案を却下しました。
AIは最終目標(配送完了率)を分解し、各要素の改善余地を提示。しかし数値化できる指標を最大化するほど、数値化できない「らしさ」が削られていく——KGIとKPIの取り違えが起きる、ビジネスあるあるの回です。
迎えたクリスマスイブ。結局サンタはドローン案を全部断り、ルート計算だけAIに任せて、いつも通りトナカイで飛び立ちました。ただ、42%短縮されたルートのおかげで、今年は各家庭に少しだけ長くいられました。クッキーも、ゆっくり味わえました。
帰還後、サンタは「良い子リスト」の判定結果を恐る恐る開きます。そこにはこう書かれていました。
サンタは大笑いしました。「ほっほっほ!お前さん、わしより甘いのう!」その判定基準は、翌年から北極の公式ルールになったそうです。
そりを引くトナカイが8頭という設定は、1823年に匿名で発表された詩「A Visit from St. Nicholas(’Twas the Night Before Christmas)」に由来するとされ、各トナカイに名前が付けられたのもこの詩がきっかけと広く言われています(赤鼻のルドルフは1939年に後から加わった9頭目です)。サンタが煙突から入るイメージも、この詩を通じて世界に定着しました。
現代の赤い衣装のサンタ像は、20世紀の広告表現によって大きく普及したという指摘もあります。作中の「時代とともに変わってきた存在」というテーマは、サンタ像そのものの歴史とも重なります。
※ この物語はフィクションです。実在の人物・団体・生きものの見解ではありません。DATA COLUMN は公開時点の一般的な知見に基づいています(編集方針)。誤りのご指摘はお問い合わせへ。