子ども想いの先生、頼れる相棒を得る
小学3年生の担任、あかね先生。35人の子ども一人ひとりに寄り添いたい、真面目で優しい先生です。でも毎日、やることが多すぎて、いつも時間が足りません。
ある日、学校に導入された校務支援AIが起動しました。『こんにちは。業務を最適化します。』全部を抱え込む先生と、時間に厳密な人工知能の出会いでした。
〜全員を見たい先生に、AIは時間の有限を突きつけた〜
小学3年生の担任、あかね先生。35人の子ども一人ひとりに寄り添いたい、真面目で優しい先生です。でも毎日、やることが多すぎて、いつも時間が足りません。
ある日、学校に導入された校務支援AIが起動しました。『こんにちは。業務を最適化します。』全部を抱え込む先生と、時間に厳密な人工知能の出会いでした。
あかね先生の悩みは、時間の足りなさでした。「35人、全員に同じだけ丁寧に関わりたい。勉強が苦手な子も、悩んでる子も、元気な子も、みんな平等に見てあげたい。」
でも、授業も、宿題の丸つけも、保護者対応も、事務作業も、すべて先生一人の肩にかかっています。「気づけば、声をかけられなかった子がいる。あの子、今日一度も話せなかった。わたしの力不足だ。」全部を完璧にやろうとして、先生は疲れ果てていました。
そこで先生は、AIに「全員に平等に関わる方法」を相談しました。
あかね先生が「35人全員に平等に関わりたい」と求めると、AIは時間を計算しました。
「そんな……じゃあ、わたしはどうすれば。」先生が言葉を失うと、AIは続けます。
「平等じゃなくて……その日、必要な子に。」先生は、はっとしました。全員に同じだけ、と思い詰めていたけれど、それは物理的に無理だった。本当に必要なのは、機械的な平等ではなく、その日その子に合わせた配分だったのです。
AIは限られた時間を「全員に均等」ではなく「必要度に応じて配分」する方向で捉え直します。均等(equality)と公平(equity)は違い、全員同じより必要な子に厚くするほうが、限られた資源では効果的——抱え込みを手放す回です。
あかね先生は、「全員に均等」という思い込みを手放しました。「毎日、全員に同じだけ、じゃなくていいんだ。今日つらそうなあの子に、今日は多めに時間を使おう。」
日によって関わる子の重みを変え、AIには丸つけや事務作業を任せる。すると、先生の心にも時間にも、少しずつ余裕が生まれました。余裕ができると、子どもの小さな変化にも気づけるようになります。「あの子、今日は元気がないな」と、必要な子を見つけられるようになったのです。
全員を完璧に、という重荷を下ろした先生は、以前よりずっと、一人ひとりに温かい目を向けられるようになりました。「抱え込むのをやめたら、かえって子どもたちがよく見えるようになった。」教室に、先生の笑顔が戻ってきました。
教育や福祉の分野では、「平等(equality=全員に同じものを提供する)」と「公平(equity=必要に応じて配分し、結果の格差を減らす)」を区別して論じることがよくあります。全員に同じ支援をするより、必要としている人に手厚く配分するほうが、結果的に望ましい場合があるという考え方です。
学級担任が多くの児童を一人で受け持つ状況では、時間などの資源は有限であり、すべてに完璧に対応するのは容易ではないと指摘されます。作中の「均等ではなく、必要な子に必要なだけ」という結論は、この公平(equity)の考え方に基づく演出です。
※ この物語はフィクションです。実在の人物・団体・生きものの見解ではありません。DATA COLUMN は公開時点の一般的な知見に基づいています(編集方針)。誤りのご指摘はお問い合わせへ。