窓辺の緑、成長を焦り始める
リビングの窓辺で暮らす観葉植物のミドリ。日の光を浴びて、のんびり葉を広げる毎日です。でも最近、ある悩みを抱えていました。
ある日、飼い主が使っている植物管理アプリのAIが起動しました。『こんにちは。生育状況を分析します。』マイペースな緑と、数値で測る人工知能の出会いでした。
〜ゆっくりとしか育たない鉢植えに、AIは成長速度を突きつけた〜
リビングの窓辺で暮らす観葉植物のミドリ。日の光を浴びて、のんびり葉を広げる毎日です。でも最近、ある悩みを抱えていました。
ある日、飼い主が使っている植物管理アプリのAIが起動しました。『こんにちは。生育状況を分析します。』マイペースな緑と、数値で測る人工知能の出会いでした。
ミドリの悩みは、成長の遅さでした。「隣の鉢のポトスは、どんどんツルを伸ばしてる。ベランダのミニトマトは、数ヶ月で実をつけた。なのにわたしは、一年経っても、葉が数枚増えただけ。」
「わたしって、成長が遅すぎるのかな。ダメな植物なのかな。」周りの成長スピードと比べては、ミドリは焦り、落ち込んでいました。「もっと早く、大きくなりたいのに。」
そこでミドリは、AIに「早く成長する方法」を尋ねました。
ミドリが「早く大きくなりたい」と求めると、AIはデータを返しました。
「やっぱり、わたし遅いんだ……。」ミドリがしおれると、AIは分析を続けました。
「速く育つ子と、比べること自体が無意味……。」ミドリは、はっとしました。周りと同じ速さを求めていたけれど、そもそも育ち方の違う種だった。ゆっくりなのは、長く強く生きるための、自分なりのペースだったのです。
AIは植物の成長を「速さ」だけでなく「強さ・寿命」で捉え直します。速く育つ種と遅く育つ種は戦略が違い、優劣ではない。他者のペースを自分の物差しにする誤りを、種の違いで示す回です。
AIに「遅さは長生きの戦略」と示されたミドリは、焦るのをやめました。「わたしは、速く育たなくていい。ゆっくり、でも確実に、強くなっていくんだ。」
それからのミドリは、周りと成長速度を比べるのをやめました。目に見える葉の数ではなく、見えない根を、じっくり深く張っていく。派手さはなくても、少しずつ、確かに強くなっていきます。
何年も経ったある日、ミドリは立派な一本の木に育っていました。速く伸びた植物の多くが枯れて植え替えられる中、ミドリはずっと同じ部屋で、家族を見守り続けています。「遅くてよかった。焦らなくてよかった。これが、わたしのペースだったんだ。」
植物には、短期間で大きく育つ成長の速い種と、ゆっくり時間をかけて育つ成長の遅い種があります。一般に、成長の速い植物は短期間で大きくなる一方、寿命が比較的短い傾向があり、成長の遅い樹木などは、長い年月をかけて大きく強く育ち、長寿である傾向があると言われます。
観葉植物にも、生育の速いものと遅いものがあり、遅いからといって不健康とは限りません。生育速度は種ごとの性質によるところが大きく、他の種と比べて優劣を判断するものではないと考えられます。作中の「遅さは長く生きるための戦略」という描写は、こうした植物の多様な成長様式に基づいています。
※ この物語はフィクションです。実在の人物・団体・生きものの見解ではありません。DATA COLUMN は公開時点の一般的な知見に基づいています(編集方針)。誤りのご指摘はお問い合わせへ。